輝度と放射輝度
みなさん、こんばんは。
柳村です。
今回は、modoの光の単位である、輝度と放射輝度についてお話します。
modoの日本語表示が間違えている気がするのですが…。
もしかして単位の表記の方が間違えていると、この内容は意味がないかもしれません(笑)
ですが、単位を信じて進めていきたいと思います。
まずは、「光度」という概念についてお話します。
「光度」というのは、光源からあらゆる方向へ、単位立体角あたりにどれだけの光束が飛んでいっているか?
ということを表す「測光量」です。
この、単位立体角という概念はなじみがないのでわかりにくいのですが、下の図をご覧ください。
まず、立体角とは球の中心に向かってアイスクリームのコーン(円錐)を差し込んだときの
アイスクリームのコーンのとんがり具合の角度。みたいなものです。
角度を立体的に考えます。
正確にはコーンを差し込んだときに球の表面と重なる部分の面積で、角度を考えます。
コーンが開けば、面積も大きくなるので、立体角も大きいと言えます。
そして単位立体角とは半径1の球体で、コーンと球の表面が重なる面積が1の立体角の事を言います。
そして、立体角の単位は「ステラジアン」と言います。
光源からは空間全体へ、あらゆる方向に光が飛んでいますが、
光源の中心にアイスクリームのコーンを”ぶっさした”と考えてください。
そのコーンの中を通ってくる光束の量が「光度」となります。
光度の単位は、単位立体角あたりの光束の量なので、lm/sr(ルーメン毎ステラジアン)となるのですが、
特別に、cd(カンデラ)と言う単位がつけられています。
ちなみち、カンデラとはラテン語から来ていて、「ろうそく1本の明るさ」だそうです。
キャンドルとも、なんとなく似ていますよね。
さて、点光源のように面積を持たない場合の光源はこれでいいのですが、
面光源のように、面積を持っている光源の場合はどうでしょうか?
そこで登場するのが、「輝度」です。
輝度は、光度に面積の概念を付け足したものです。
ある面積を持った光源を、とある角度から見たときの、「見かけの単位面積当たりの光度」を輝度と言います。
この、見かけの面積というのは、正円を真正面から見ると正円のままですが、少し斜め方向から見ると楕円に見えます。
このように、観測した角度で見える光源の面積が、みかけの面積です。
光度は光源に1本のアイスクリームのコーンでしたが、
輝度は光源のみかけの面積をうめつくすアイスクリームのコーンがささっていて、
そのすべてのコーンの中を通ってくる光束の量とイメージして頂くとわかりやすいでしょうか?
そして単位は、単位立体角かつ単位面積当たりの光束となるので、
「lm/sr/m2」(ルーメン毎ステラジアン毎平方メートル)ということですが、
「lm/sr」は光度の単位で特別に「cd」だったので、
輝度の単位は「cd/m2」(カンデラ毎平方メートル)となります。
同じく、輝度も測光量で単位面積とは面積が1の事をさします。
ちなみに、輝度は私たちも知らずのうちに目にしている単位です。
液晶モニターや液晶テレビなどの明るさをしめすのに、よくつかわれています。
私の使っている液晶モニターの輝度は「250cd/m2」となっています。
見かけの面積が1平方メートルのときに、250カンデラの明るさと言うことですね。
ろうそくが250本分の明るさ・・・といわれてもピンときませんが(笑)
「輝度」とは簡単に考えると、そのまま、光源の輝き具合です。
蛍光灯と白熱電球を思い浮かべてください。
どちらも、光束の量(明るさ)は同じとします。
しかし、蛍光灯は面積が広いために輝度が低く(単位立体角あたりの光束が少ない)
白熱電球はフィラメントがすごく小さく面積が狭い(単位立体角辺りの光束が多い)ため
ものすごく、輝度が高くなります。
上の画像の例では、白熱電球も蛍光灯も全光束は800lmとします。
全光束とは、照明器具から放たれるすべての光束の総量です。
青い単位立体角に注目してみると、放たれる光束の総量はどちらも同じなので、
白熱電球の場合、光源の面積が小さいために、単位立体角あたりに入る光束が多くなりますが、
蛍光灯の場合は面積が広いために、単位立体角あたりに入る光束が少なくなります。
単位立体角あたりの光束が多いと輝度が高くなりますが、少ないと輝度が低くなります。
では、物理的なエネルギーで考えて見ます。
「輝度」は測光量ですが、輝度に対する放射量は「放射輝度」です
測光量も放射量も基本的な考え方は同じで、「人の目で見たときの明るさ」と考えるか、
「物理的にエネルギーがどの程度放出されているのか」と考えるかの違いだけです。
ですので単位は、単位立体角あたり、かつ見かけの単位面積あたりから放出される放射束となり、
「W/sr/m2」(ワット毎ステラジアン毎平方メートル)となります。
modoでの光の単位として使われている、「cd/m2」と「W/sr/m2」は実は測光量と放射量の関係にあったのですね。
一番初めのお話で、40Wの電球だからといって、「40W/sr/m2」としてはいけない理由がなんとなく、おわかりいただけたでしょうか?
「40W/sr/m2」ということは、1平方メートルあたりかつ、単位立体角あたり40Wものエネルギーが放出されていることになるので、
すこぶる明るすぎることこの上ないのです(笑)
ちなみに、40W/sr/m2を輝度に換算すると、7160cd/m2です。
1平方メートルあたりの明るさが、ろうそく7160本分・・・。
エリアライトや円柱ライトなんかは、面積を持っている光源です。
ですので、ライトの面積とライトの強度には密接な関係があります。
ライトの強度が同じでも、ライトの面積が大きければ、明るさも当然比例して大きくなります。
デフォルト単位の「W/sr/m2」は1平方メートルあたりかつ、単位立体角あたりのエネルギー量ですから、
おなじ、「3W/sr/m2」でもライトの縦横の長さが1mと2mでは、エネルギー量(明るさ)は4倍になります。
(縦横の長さが2倍になると、面積は4倍になります。)
いかがだったでしょうか?
CGはあくまでも、CGであってシミュレータではありませんし、
明るさなどというのは、感覚のものだと思います。
ですので、物理的な知識などなくても、困ることもないと思いますが、
ある程度は理詰めによって詰めてから、感覚による調整というスタイルも
試行錯誤の時間が減るかもしれません。
Maxwell Render のように、シミュレータにもなりそうな物理的に正しいレンダラーでは
こういった知識は役に立つかもしれません。
これで、今回のライトの単位に関する連載は終わりとなります。
ありがとうございました。
柳村です。
今回は、modoの光の単位である、輝度と放射輝度についてお話します。
modoの日本語表示が間違えている気がするのですが…。
もしかして単位の表記の方が間違えていると、この内容は意味がないかもしれません(笑)
ですが、単位を信じて進めていきたいと思います。
まずは、「光度」という概念についてお話します。
「光度」というのは、光源からあらゆる方向へ、単位立体角あたりにどれだけの光束が飛んでいっているか?
ということを表す「測光量」です。
この、単位立体角という概念はなじみがないのでわかりにくいのですが、下の図をご覧ください。
まず、立体角とは球の中心に向かってアイスクリームのコーン(円錐)を差し込んだときの
アイスクリームのコーンのとんがり具合の角度。みたいなものです。
角度を立体的に考えます。
正確にはコーンを差し込んだときに球の表面と重なる部分の面積で、角度を考えます。
コーンが開けば、面積も大きくなるので、立体角も大きいと言えます。
そして単位立体角とは半径1の球体で、コーンと球の表面が重なる面積が1の立体角の事を言います。
そして、立体角の単位は「ステラジアン」と言います。
光源からは空間全体へ、あらゆる方向に光が飛んでいますが、
光源の中心にアイスクリームのコーンを”ぶっさした”と考えてください。
そのコーンの中を通ってくる光束の量が「光度」となります。
光度の単位は、単位立体角あたりの光束の量なので、lm/sr(ルーメン毎ステラジアン)となるのですが、
特別に、cd(カンデラ)と言う単位がつけられています。
ちなみち、カンデラとはラテン語から来ていて、「ろうそく1本の明るさ」だそうです。
キャンドルとも、なんとなく似ていますよね。
さて、点光源のように面積を持たない場合の光源はこれでいいのですが、
面光源のように、面積を持っている光源の場合はどうでしょうか?
そこで登場するのが、「輝度」です。
輝度は、光度に面積の概念を付け足したものです。
ある面積を持った光源を、とある角度から見たときの、「見かけの単位面積当たりの光度」を輝度と言います。
この、見かけの面積というのは、正円を真正面から見ると正円のままですが、少し斜め方向から見ると楕円に見えます。
このように、観測した角度で見える光源の面積が、みかけの面積です。
光度は光源に1本のアイスクリームのコーンでしたが、
輝度は光源のみかけの面積をうめつくすアイスクリームのコーンがささっていて、
そのすべてのコーンの中を通ってくる光束の量とイメージして頂くとわかりやすいでしょうか?
そして単位は、単位立体角かつ単位面積当たりの光束となるので、
「lm/sr/m2」(ルーメン毎ステラジアン毎平方メートル)ということですが、
「lm/sr」は光度の単位で特別に「cd」だったので、
輝度の単位は「cd/m2」(カンデラ毎平方メートル)となります。
同じく、輝度も測光量で単位面積とは面積が1の事をさします。
ちなみに、輝度は私たちも知らずのうちに目にしている単位です。
液晶モニターや液晶テレビなどの明るさをしめすのに、よくつかわれています。
私の使っている液晶モニターの輝度は「250cd/m2」となっています。
見かけの面積が1平方メートルのときに、250カンデラの明るさと言うことですね。
ろうそくが250本分の明るさ・・・といわれてもピンときませんが(笑)
「輝度」とは簡単に考えると、そのまま、光源の輝き具合です。
蛍光灯と白熱電球を思い浮かべてください。
どちらも、光束の量(明るさ)は同じとします。
しかし、蛍光灯は面積が広いために輝度が低く(単位立体角あたりの光束が少ない)
白熱電球はフィラメントがすごく小さく面積が狭い(単位立体角辺りの光束が多い)ため
ものすごく、輝度が高くなります。
上の画像の例では、白熱電球も蛍光灯も全光束は800lmとします。
全光束とは、照明器具から放たれるすべての光束の総量です。
青い単位立体角に注目してみると、放たれる光束の総量はどちらも同じなので、
白熱電球の場合、光源の面積が小さいために、単位立体角あたりに入る光束が多くなりますが、
蛍光灯の場合は面積が広いために、単位立体角あたりに入る光束が少なくなります。
単位立体角あたりの光束が多いと輝度が高くなりますが、少ないと輝度が低くなります。
では、物理的なエネルギーで考えて見ます。
「輝度」は測光量ですが、輝度に対する放射量は「放射輝度」です
測光量も放射量も基本的な考え方は同じで、「人の目で見たときの明るさ」と考えるか、
「物理的にエネルギーがどの程度放出されているのか」と考えるかの違いだけです。
ですので単位は、単位立体角あたり、かつ見かけの単位面積あたりから放出される放射束となり、
「W/sr/m2」(ワット毎ステラジアン毎平方メートル)となります。
modoでの光の単位として使われている、「cd/m2」と「W/sr/m2」は実は測光量と放射量の関係にあったのですね。
一番初めのお話で、40Wの電球だからといって、「40W/sr/m2」としてはいけない理由がなんとなく、おわかりいただけたでしょうか?
「40W/sr/m2」ということは、1平方メートルあたりかつ、単位立体角あたり40Wものエネルギーが放出されていることになるので、
すこぶる明るすぎることこの上ないのです(笑)
ちなみに、40W/sr/m2を輝度に換算すると、7160cd/m2です。
1平方メートルあたりの明るさが、ろうそく7160本分・・・。
エリアライトや円柱ライトなんかは、面積を持っている光源です。
ですので、ライトの面積とライトの強度には密接な関係があります。
ライトの強度が同じでも、ライトの面積が大きければ、明るさも当然比例して大きくなります。
デフォルト単位の「W/sr/m2」は1平方メートルあたりかつ、単位立体角あたりのエネルギー量ですから、
おなじ、「3W/sr/m2」でもライトの縦横の長さが1mと2mでは、エネルギー量(明るさ)は4倍になります。
(縦横の長さが2倍になると、面積は4倍になります。)
いかがだったでしょうか?
CGはあくまでも、CGであってシミュレータではありませんし、
明るさなどというのは、感覚のものだと思います。
ですので、物理的な知識などなくても、困ることもないと思いますが、
ある程度は理詰めによって詰めてから、感覚による調整というスタイルも
試行錯誤の時間が減るかもしれません。
Maxwell Render のように、シミュレータにもなりそうな物理的に正しいレンダラーでは
こういった知識は役に立つかもしれません。
これで、今回のライトの単位に関する連載は終わりとなります。
ありがとうございました。
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